●今回の考案●
久しぶりの考案です。ふるめたです。

今回はメールにて「デッキ構築の際に考えること」について
ご質問を頂きましたので、お答えさせていただこうと思います。

※まず最初に、以下は僕の偏見的な意見であることを
 ご了承下さい。あくまで「僕の中での」構築です。
 皆様の構築の否定でもありませんし、自分のデッキの正当化
 でもありません。その点、ご理解いただいた方のみ
 お読み下さい。


僕はデッキを組む際、最近は主に二つのことを考えます。

 ★「自己的」に勝つのか「協調的」に勝つのか
 ★コンボを「自己的」に魅せるのか「協調的」に魅せるのか


以上、二つのみです。それでは、本題に入ります。



09年3月、新たな制限改定もあり、
環境はめまぐるしく変化を遂げました。

それに伴い、各種アドバンテージの優位も大幅に変動。
古来の考え方を切り替えねば、勝てない時代に変化しています。

特に大きな問題はシンクロです。
条件が整えばエクストラデッキから出せ、その場に最適な
能力を持つモンスターを展開できるようになりました。


それはより万能で自由なデッキを作れるようになりましたが、
その反面 万能すぎて長所を生かしきれないともいえます。
バリエーションが増えたようで、狭まっているのかもしれません。


とと、それではこの環境の中
早速デッキを1つ組んでみるとしましょう。


【第一:やりたいこと】


デッキやプレイにはその人個人のスタイルがあると思っています。
僕は、「自己的」「協調的」の二つに
大きく分けれると思っています。

「自己的」とは、その名のとおり
「どんなデッキが相手でも同じ戦術で戦う」デッキです。


「協調的」とは、
「相手のデッキによってスタイルが変わる」デッキです。


まず「自己的」な構築から考案してみます。

【自己的デッキの作成】


僕の中でこのデッキに分類されるのは、一般的に
メタビート、1キル、他流行デッキと呼ばれる
分類です。

相手を「何も出来ない状況のまま引導を渡す」
「自分のデッキの邪魔をさせない」というコンセプトを
持って組まれているものです。


このデッキの場合、相手のカードの効果ではなく、
「効果の通り道」でつぶす動きをかけることが多いです。


貪欲な壷の「発動」を止める
モンスターの「召喚」を止める
カードの「セット」を止める


これらはどんなカードにおいても通る道です。
その1枚のカードの効果の発動前の段階でつぶします。
どんなデッキでも通る道を消していきます。
故に、その後のカードの効果がどうであれ、関係ない
わけですね。


この工程の自由をつぶせば、自分の邪魔はされません。


例として「帝」「大寒波」「神の宣告」
「賄賂」「サンダーブレイク」
等です。


共通点は
「自分のデッキの戦術の幅を広めるのではなく、相手の邪魔をする」
という面です。多少抵抗されようが、完封できます。


つまり裏返せば、
その分戦術は単純で、一定であることになります。

「相手に邪魔をされなければ、この方法で決まる」
というビジョンがある下で作成されているからです。

「読みやすいけれど、対処しにくい」コレです。

巷でうわさの猫シンクロ。
これが強いのは、「邪魔をしにくい」からです。

大寒波から猫を出されると絶対にアドバンテージが取られる。
ハンデスを受けた後に、ナチュルビーストになり魔法を
封印される。
サモンプリーストからアーカナイトマジシャンへ。

このように、一概に猫といっても、
ケースバイケースであらゆる動きが出来るため、
邪魔がしにくいのです。

だから嫌われる、それだけのことです。
その分強いってことですからね。

僕はよくブログなどでデッキの考案をされているページを見ます。
その人の揚げておられるデッキレシピと、嫌っておられるカード
その二つを見るだけで、その人の構築方法と性格がわかります。
たいていこの「自己的」の組み方をされている方は
「ネタ」「ガチ」の境界線を大きく分けておられます。


ニコニコ動画でも同じです。


また、オフ会において戦う場合、初手でどのような動きをするか。
明確に見える場合、最初の2ターンでデッキのパターンや
伏せカードまでわかります。


長くなりましたが、これらが「自己的」なデッキの組み方です。

次に、協調的なデッキの組み方です。

【協調的なデッキの作成】


これは自己的とは見る点が違うだけです。
自己的が「カードの発動」という工程を見るのに対し、

協調的は「カードの効果」に注目します。

「手札に戻す。コントロールを変更できない。
 〜がある限り、〜出来ない」


あらゆる相手の効果を意識してデッキを組みます。
相手のデッキの個性や、傾向性を意識するわけです。

そしてその傾向性の中の弱点を作り上げ、
倒していくこと。
「その人のデッキを知った上で、その人の組み方や
 構成の穴を付いていく」ような感じです。

相手の傾向性を確認するため、
戦術を変動させられる組み方、つまり
「自分の戦術を拡張できる」組み方が必要になります。
その戦術の拡張において、相手の戦術を狂わせ、
思わぬ奇襲をかけるわけです。


主に僕のデッキは、この「協調的」に当てはまります。
相手のデッキがあるからこそ「自分が生きる」デッキです。

僕にとって、デュエルは交流です。相手が
いないと出来ませんし、その相手と一緒に楽しめないと
いけない。
この考えがあるからなのかもしれないです。


この「協調性」のデッキにあるカードは、
単体では力を発揮できないカードや、
明確な意図が見えにくいカードが多いです。
コンボ型、といったほうがいいですかね。


相手の行動を読み、相手のことを考える
「相手ならここでどうするか…」「あのデッキならどうするか…」
めちゃめちゃ頭を使います。


この協調的に分類されるカードは
戦術の拡張です。

一定の防御用カードやカウンター、妨害、除去を抜き、
自分のやりたいことをよりたくさん出来るようにカードを入れます。


よく見るデッキというのは、勝率があるデッキです。
では、勝率があるのはどうしてか?


単純に強いというのもありますが、
手札事故を起こさないというのもあり、
予期せぬ事態を発生させない構築だからです。

それを完全まで追求すると、「自己的」にならざるを得ません。

故に「自己的」×「自己的」での戦いが多く、それが
一般化されており、「協調的」なカードの場合に
勝率が付いていかないと「ネタ」などと思われるのかもしれません。



【自分が何をしたいのか】

最後になりますが、自分がとある戦術やカードを使いたいと
思ったとします。その時に、自己的か、協調的か、
まず大まかに分けて下さい。

簡単な例を分けます


ゴブリン突撃部隊を使いたい


→自己的に分ける(デメリットを消し、相手の戦術を消す)

 →最終突撃命令→スキルドレイン→バルバロス「スキドレバルバ形」
 →永続カード防御用に「神の宣告」「賄賂」

→協調的に分ける(デメリットをトリガーとして新たな戦術を生み出す)

 →ガードペナルティ →「表示形式変更利用型」
 →Dフォーマーや悪夢の迷宮→チャッキーン


上はあくまで例ですが、「デメリットを消して相手の戦術を消す」
そのためにはデメリットを消すギミックを常に維持するため、
相手の邪魔をさせないことが必須になります。

相手がどんなデッキであろうともこの戦術を取る。
というのが自己的に分けた場合です。

協調的に分けた場合は、デメリットから新たに戦術を
つなげています。

守備になることを許容して戦術を作り、そのデメリットを
中和することも考慮に入れながら…
と、戦術を一定にせず、相手によって切り替える形。
これが協調的です。

戦術が一定ではない分、相手によって分けることが出来ます。


最終的にそのカードを使ったとき、どのような勝ち方が
一番自分にとって理想かを考えてください。


僕の場合、相手の攻撃を直撃しつつもなぜか勝てる。
そんなデッキが好きなので、協調的に組むようには
心がけています。


そしてそれで動画を揚げてきたからこそ、
皆様強調的なリピーターが付いて下さっており、
だからこそ自己的なカードを積むと大きな批判がくるのだと
思います。


何を求めるか。「勝利への道」「新しいデッキ」
皆色々あります。

その中でも勝利へ向かうデュエルの中で、
必ずこの二種のカード「自己的」「協調的」は含まれます。
その成分をうまくバランスを取り、最終的に
「自己的」な勝ち方「協調的」な勝ち方。


どちらで勝つのかを明確に決めておくことが大切だと
思います。


デッキの案が思い浮かばない等の場合は、

考え方が「自己的」、でも望む形は「協調的」
入れているカードが「協調的」でも求めている勝ち方は「自己的」
である場合が多いです。


また、デュエルに応じてもこの二パターンが
噛み合わないことで喧嘩になることもあります。


その人の「本気」の中に、考え方が潜んでいます。
そしてそれが本気である限り、その考え方が変わらない限りは
どうあがいてもその「自己的」「協調的」な組み方からは
抜けられないと思います。


万能に対処できるこの環境だからこそ、
組み方がぶれれば中途半端になってしまいます。
そこを確立させることが、今後のデッキ構築の際に
必要になってくるのだと、思います。


最後になりますが、「〜しないから自己的」「〜じゃないから協調的」
という分類を分けるための考案ではありません。


「それでは〜は自己的なのか?」
「単に自己的〜を悪者にして、自分を正当化しているのでは?」
等々様々な意見をもたれると思います。
ですが、その疑問に思うこともその人の考え方あってのこそ。
文章を読んでいただいた上で得られた疑問も、活かそうと思えば構築に活かす
ことが出来るはずです。


最後になりますが、
読んでいただいた上で、各自のデッキの組み方の参考にしていただければ、幸いです。


09.4.2 ふるめた